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更新日 2017-06-20 | 作成日 2007-11-25

Real Life 5 「転身」

2007/08/21

涙ポロポロ、”相田みつを”との出逢い

mousepad.jpg(Mr.X)
(相田みつをさんのマウスパッドを目の前にして)相田みつをさんに興味があるんですか?

(注)相田みつを  詩人、書家。老若男女を問わず、人生の悲哀を表現した文体にはファンが多い。代表作に「にんげんだもの」等がある。

(Yuji Tanaka)

そう、10年くらい前に「知ってるつもり」っていうTV番組で相田みつをさんの特集があってね。たまたま見ていて衝撃をうけた。番組が終わってからすぐに本屋さんに買いに行っちゃったんだよ。4冊もね・・・。

(Mr.X)
相田さんのどんなところに惹かれたんですか?

(Yuji Tanaka)
それまでは相田さんのことを知らなかったんだけど、人間の弱さみたいなものをテーマにしてるでしょ?日めくりのカレンダーも買ってきた。人生を考えたその先の答えを見つけられる「本当にそうだな~」って思うんだ。僕のバイブルみたいな物かな。たとえば人間は出逢いで変わり、感動で動く、『そのときの出逢いが』大切なんだよね。僕達のこの出逢いもそうでしょ^^。

(Mr.X)
「勉強とは一流との出逢いである」これも相田さんだったかな?

(Yuji Tanaka)
相田さんの言葉かどうかは分からないけど、その通りだよね。この前、市川にある相田みつをギャラリーに行って来たんだ。お店のご主人が名前を入れて筆でメッセージを書いてくれた。

『人は人の中で育ち、ひとはひとのなかで輝くのですね、裕二さん』

即興なのに僕のことを言い当てたステキな詞で感動してウルウル・・・。相田みつをさんはたくさん心に残る言葉があるから、いつか洋風の額に入れてお店にも飾りたいと思っているんだ。

”西白井”に志を立てる ~ 「カフェ」との出逢い

(Mr.X)
それはいいですね。相田さんを好きな人はきっと多いと思いますよ。 さてさて、では本題に入りましょう。飲食店を始めたきっかけを聞かせてください。なんでまた、カフェ・レストランを?

(Yuji Tanaka)
う~ん、昔のことだからな。安全地帯が活動休止になって、何かしなくちゃいけなかったんだよ。同じ頃、マイホームも欲しくなって、引っ越し先をあれこれ考えていたんだけど、東京はバブルの全盛期で高くてダメ。ふと千葉に目を移したら、なんとかなりそうな感じだった。

(Mr.X)
最初から商売を始めるつもりだったんですか?

(Yuji Tanaka)
いや、そういうわけじゃない。

(Mr.X)
「カフェ・ド・とおやま」というのは、元々遠山珈琲さんがオープンしたお店なんですよね?どんな経緯で「カフェ・ド・とおやま」と関わるようになったんですか?

(注)「カフェ・ド・とおやま」 2006年6月1日に「Y's cafe」に改名

(Yuji Tanaka)
オーナーの遠山さんとは親しかったんだ。安全地帯が活動休止になって、元C-C-Bの渡辺とギターの丸山と「VoThM」というバンドを結成して活動した時期があってね。平成3年くらいの話かな。そんな時、「カフェ・ド・とおやま」のオープン記念で演奏を頼まれたんだ。僕は、司会をした。ただ、そのときも単に演奏しただけの関係だったんだけど・・・。そのうち「チョッと手伝ってみない?」ってことになってね。

(Mr.X)
音楽業界から、いきなり客商売というのは抵抗がありませんでした?

(Yuji Tanaka)
僕、そういうのは好きなのよ。金子章平さんにも「喫茶店でもやりたいなぁ」って言ってたんだ。でも「お金がないとダメじゃん」って言われて・・・^^; お店をやるにしてもできそうなものって限られるでしょ。毎日ビデオが見られるからレンタルビデオ屋さんっていいな、と思ったこともあるよ。車関係だったら自動車整備士、検査主任、保険代理店の免許も持ってるから車検もできるし・・・。その頃、コーヒー業界の知り合いが多くて親しくしていたからカフェならできそうかな~って。

(注)金子章平 安全地帯が当時所属していた音楽事務所の社長

店内デビュー ~ 試行錯誤の毎日

(Mr.X)
それでカフェをやる事になったんですね。 さあ、いよいよカフェレストランのオーナー、覚えることはたくさんありますよね?

(Yuji Tanaka)
うん、たくさんあった。

(Mr.X)
オーナーとして初出勤、まずは何をしました?周りの反応は?

(Yuji Tanaka)

「ど~したもんかな?」って、何にもしたことがないから、まずはレジの所に立っていた。かしこまっているのがイヤで最初は制服も着なかった。そしたらお客様の視線が「誰だろう??きっと新しく入ってきたのね。」みたいに見てるでしょ。もう、いづらくて、いづらくて。。。

(Mr.X)
飲食店でのアルバイト経験はあったんですか?

(Yuji Tanaka)
全くなかった。オーナーとはいっても素人なわけだから、とにかく「どうしたらいいの?」って、わからないことはどんどん聞いた。制服にしても、着ないほうが変だと思いすぐに着たよ。お客様相手なわけだから、身なりも大切だよね。

(Mr.X)
学校とかも行かなかったんですか?

(Yuji Tanaka)
うん、行かなかった。自分のペースであれこれ始めたというのが、当時の状況だったな。毎日の売り上げを記帳して銀行に行ったり、仕入れをしたり・・・ 覚えなくてはいけないことはたくさんあった。

(Mr.X)
最初はホールから?

(Yuji Tanaka)
そう、最初はホールをやりながら作業を覚えていった。洗った食器とかナイフやフォークをガシャ、ガシャとしまっていたら「うるさいなぁ、乱暴ね~」って言われたことがあって、それがすっごくショックでね。音には気をつけなくてはいけないってお客様に教えてもらったよ。

(注)ホール 平たくいえば、店内での接客業務。料理担当を厨房と呼ぶ。

”スティック”から”包丁”へ

(Mr.X)
厨房はどんな具合に?

(Yuji Tanaka)
メニューを教えてもらうまでがなかなか長い道のりだった。いきなりスティックから包丁でしょ。。今考えるとコワイよね^^;

(ここで昔のメニューブックを持ってくる)
menubook.jpgこれが当時のメニューブックなんだけど、いろいろと改良して使いやすいものに変えていったんだ。知り合いにメニューブックの見本を持ってきてもらって、ホテルのメニューブックを参考にワープロで作り、ラミネートをしたら長持ちするようになった。

(Mr.X)
料理はすぐに作れました?

(Yuji Tanaka)
レシピはまずは飲物からだった。基本を知らなくて教えられる通りに覚えていたんだけど、お客様の反応がどうもイマイチで、特に紅茶が難しかった。基礎技術のない人に教えられているということに気づいて「しっかり勉強しなくちゃ!」と、一生懸命に勉強したよ。時には紅茶の製造元に問い合わせて本格的な入れ方を教えてもらったりね。茶葉の分量や何分間おくのか、とかしっかり教えてくれたよ。

(注)「特に紅茶が難しかった」 一般的に、珈琲と紅茶、カクテルは作り手の腕がそのまま出る。その意味で、バーテンダーが頻繁に変わるお店は信用できない。

ドリップ開眼の原点は?

(Mr.X)
コーヒーは?

(Yuji Tanaka)
最初は理解しないで、レシピに書いてある通りにやってた。そのうちどうしてそうするのか意味を理解してコーヒーが「おいしい成分が出たい!」っていう状態をキープしながら入れられるようになったよ。特にコーヒーは入れる人によって味の違いがでるから、ここを気をつければとか、大切なのはここなんだっていうポイントをしっかり押さえてね。

(Mr.X)
マスターのコーヒーはおいしいです ^^v

(Yuji Tanaka)
ありがとう!コーヒー豆もいいからね!

(Mr.X)
それで、料理を作りだしたのは?困ったことはありませんでしたか?

(Yuji Tanaka)
実際に作り出したのは後半なんだけど、料理の仕上がりにブレが出た時に「なぜかな?」って疑問を感じて、それでメーカーの開発部に直接電話をして聞いたら、すんなり大切なツボを教えてくれた。「なんだ~!そういうことか!!」って納得したよ。

(ここでマスターのレシピノートが出てくる)
note.jpgこんな感じで全部メモして勉強してた。

(ノートにはビッシリと小さな文字が綴られ、何度も繰り返し見ていた様子がうかがえる)

今までかなり適当なことをやっているのがわかって、1回教えてもらったらわかるようにレシピを作った。料理って愛情っていうけどさ、愛情だけではおいしくならなかった(笑) 料理って化学(バケガク)ともいうでしょ?いろいろな調味料や食材の化学反応でおいしくなる。本当に言い当ててるなぁ~って思う。もちろん愛情もたっぷり入れているけどね。

(Mr.X)
音楽だって、いくら熱い心を持っていても、練習しないとダメですしね。

(Yuji Tanaka)
そう、何事も基礎が大事なんだよな。クラブハウスサンドイッチを作る時にも、おいしいサンドイッチを出しているお店で勉強させてもらったりね。料理の味やお店の雰囲気もとっても大切だから改革、改革の連続だったよ。だんだんわかってきたら「あれ?おかしいな?」って思った時にはダメだしをしていた。カウンターや厨房も狭い空間を有効に使うように工夫したしね。動線や物の配置を効率的に考えて改良、改良!今はとっても使いやすいよ~^^  ライブツアーにも行きながらだったから、料理を作ることはできたけど実際に作る場面はそんなになかった。そういう意味では厨房は一目置いた場所だったよ。料理は作らなくても状況はしっかり把握していたけどね。

(注)厨房 飲食店を経営する場合、まずは厨房から設計すべき。ひとことに料理といっても、必要な機材には幅がある。メニューを吟味し、本当に必要な機材だけを揃えていくと、結果的に効率的な経営が出来る。間違っても風水で決めてはいけない ^^;

ちなみに、お馴染みのチーフは・・・

(Mr.X)
チーフはいつから勤め始めたんですか?
interview3.jpg(Chief)
いつからだろう?随分、前の話ですよね。当時、飲食店でアルバイトがしたくて、西白井の駅周辺を探していたんです。駅前のケーキ屋さんに行ったり・・・

(Mr.X)
その頃、田中さんは既にオーナーだったんですか?

(Chief)
そう。ただ、最初に来たときはお店にいなかった気が・・・ とりあえず連絡先を書いて、後日、履歴書を持って面接するみたいな話で・・・

(Mr.X)
で、面接に来た?

(Yuji Tanaka)
うん、次の日僕が面接をやった。

(Chief)
接客業は初めてだったので、初日は何をしていいのかわからなくて「メニューを持っていって」「お水を出してきて」と言われるままに動いてました。

スタッフ必見! 大切なのは“心”だよ

(Mr.X)
新しく入ってくるスタッフの気持ちが分かるでしょ?失敗もした?

(Chief)
元来、負けず嫌いで仕事はとにかく覚えようと努力しました。カウンターも「興味がある?じゃ、覚える?」って言われノートを持ち帰り、勉強して覚えましたね。そういえば、厨房に入っても最初は勝手が分からない。未だに覚えているのは最初に料理を出した時に、いきなり「しょっぱい」なんていうクレームをもらいました。1、2、3って教えられたとおりに塩を振って入れたら出すぎちゃったんですね ^^;お客様にお出しするものは本当に気をつけないといけないって思いました。

(Yuji Tanaka)
厨房は、本当に気をつけないとね。

(Chief)
新人が入ったときには、料理をお出ししたらお客様の表情をしっかり見ないとダメだよ~ってアドバイスしています。本当に美味しいと思ってくれているかは、お客様の顔を見れば分かりますからね。これは、ベテランとなった今でもそうですけど、お皿を見てキレイに食べてくれているとやっぱりホッとしますよね。

(Mr.X)
みんな最初は緊張しますよね。ちなみに音楽活動をやっていたことは役立ちましたか?

(Yuji Tanaka)
うん、とても役に立った。人を喜ばすって意味では、音楽も料理も一緒でしょ?ライブでは、観客の様子を感じながら、浩二を中心にパフォーマンスをする。アンテナを高く張って集中し、ちょっとしたことにでも敏感に反応する。飲食店にも通じるものがあるよね。お客様のちょっとした仕草を見ながら、お客様が望む動きをする。音楽活動中、ホテルなどで受けた一流の接客は良い経験となって役立っているよ。

(Mr.X)
人に気を遣うことがストレスにならない?

(Yuji Tanaka)
ならないよ。お店では気遣いするのが当たり前で、『気持ちよくお店に入ってきて、気持ちよく過ごして、気持ちよく帰っていただく』それが全てかな。お客様の気持ちにいかに立てるか?が大切だと思う。

『お客様がお店を作るし、お店がお客様を作る。』

一番大切なのは“心”なんだよ。人は“心”に基づいて行動するわけでしょ?“良い心”の持ち主なら何をやっても大丈夫。“心”がこもったサービスを提供できるお店をスタッフと共に作り上げていきたいな。 相田さんの詩に『ただいるだけで』というのがあって毎日心に思っている。僕もそうありたいってね・・・。

感じることが一番大切なんだ。

音楽でもそうだよ。やっぱり『デリカシー』って一番大事!!^^v